子供の頃暮らしていた場所。その裏山にはどんな哺乳類がいるんだろう?
そんな素朴な疑問から、実家の裏山で哺乳類を撮影し始めたのは2005年の夏でした。
撮影にチャレンジした場所は、鹿児島県南さつま市坊津町久志という、薩摩半島南部の南西端に位置する小さな集落です。撮影開始時は、川辺郡坊津町でした。市町村合併により、撮影を始めた2005年11月に南さつま市となりました。
久志は、リアス式海岸の美しい坊津町の集落のひとつです。かつては、近衛家の荘園であったり、遣唐使の寄港地、和冦、薩摩の密貿易などで栄えた港町でした。明時代の中国の書物に、安濃津、博多津、坊津が”日本三津”(津は港の事)として記されるほど、殷賑極めたようです。近衛信尹公が配流されていた地でもあります。
坊津について Wikiの記事
近衛信尹について Wikipediaの記事
 現在の久志は、リアス式海岸の湾の奥まった場所に、ひっそりと集落が存在しています。山が海岸線まで迫っており、平地は僅かです。かつては、その僅かな平地も水田として耕されていたのですが、現在では放棄されたり、一部が畑となっています。疎化が進んでいます。
  撮影地は、海岸から200mほどの場所にある、私の実家の裏山です。数軒の民家がぽつぽつと点在し、その背後は海抜150mほどの低い尾根を経て、車岳や尊牛山など300mから400mほどの山が連なっています。植生はシイ・カシ二次林に該当すると思います。冬場に訪れる事が多かったのですが、林床にはかなりのドングリが落ちていました。
 実家の裏には、二畳程度の広さがある小さな菜園があり、周辺には数本の柑橘類、枇杷、栗などの果樹があります。そして裏山へと続いています。
裏山には、植林されたスギも数本残っていますが、手入れされず、雑木林となっています。また孟宗竹など、竹が繁茂している部分もあります。私が生まれたときには既に雑木林でしたが、かつては畑として使われていた部分もあり、石積みが残っています。
私が子供の頃は、竹の子も掘っていたのですが、最近は竹林も荒れています。また同じく子供の頃、風呂はマキで沸かしてました。家族が食べる分の野菜は、ほぼ全て自給していたのですが、畑で支柱として使う竹、肥料としての落ち葉など、裏山を生活で利用していました。今では、ときどき親父が孟宗竹を切り出す程度でしょうか。実家の裏から山へ人が歩ける獣道のような小道が、かろうじて残っています。
どうも少し様子が変わってきているんだな。親父から実家周辺の様子を聞いて思いました。
正月頃に収穫した柑橘類類を実家の裏に小屋に置いておくと、アナグマに狙われるとのことです。昔は、果樹の根元に肥料代わりに撒いていた生ゴミも、荒らされないようコンポストが設置されていました。家のすぐ側には、イノシシが餌を探した跡が残っていました。子どの頃は、竹の子をアナグマに荒らされたり、モグラやイエコウモリの死骸を拾ったり、たまにイタチを見かけたりなどはありましたが、アナグマが自分の実家に出てくるなどなかった事です。イノシシも、ここまで身近に存在を感じる事はありませんでした。裏山を歩くと、目立つ場所に糞もありました。今は風呂も電気温水器になっていますし、裏山を生活で利用する機会は、かなり減っていると思います。また私たちが小さかった頃は、裏山は秘密基地を作ったりする遊びの場でもありましたから、けものが近づきにくかったのではないかと思います。裏山の利用が変わったため、タヌキやアナグマにとっては住みやすくなったのかもしれませんね。
どうせなら居間から徒歩3分でいける裏山で、哺乳類を撮ってみるかと考えたわけです。2005年8月、2005年9月、2005年12月年末から2006年1月の年始、2006年9月、2007年9月、2007年年末から2008年年始、2008年年末から2009年年始、2009年年末から2010年年始、2010年年末から2011年年始、2011年年末から2012年年始と、それぞれ数日間の撮影を試みてきました。
撮影できたほ乳類は、タヌキ、テン、イタチ、アナグマ、イエネコ、アカネズミ、クマネズミの7種でした。子供の頃みた記憶があるものや、食痕などの痕跡、聞き取りの情報を合わせると、実家の周辺には少なくとも12種のほ乳類が生息していそうです。アウェイでの撮影であり、なかなかイメージ通りの画が撮れていませんので、今後も時々チャレンジをしてみようと思っています。 南さつま市坊津町久志で確認してきた哺乳類
○2005年以降に撮影、または痕跡を確認したり聞き取りで確認
*子供の頃に見た事がある
食虫目
モグラ科
コウベモグラ Mogera wogura *
翼手目
ヒナコウモリ科
イエコウモリ(アブラコウモリ) Pipistrellus abramus *
霊長目
オナガザル科
ニホンザル Macaca fuscata ○
食肉目
イヌ科
タヌキ Nyctereutes procyonoides ○
イタチ科
テン Martes melampus ○
イタチ Mustela itatsi ○
アナグマ Meles meles ○
ネコ科
イエネコ Felis catus ○
偶蹄目
イノシシ科
イノシシ Sus scrofa ○
齧歯目
ネズミ科
アカネズミ Apodemus speciosus ○
クマネズミ Rattus rattus ○ 兎目
ウサギ科
ノウサギ Lepus brachyurus *
○2005年以降に撮影、または痕跡を確認したり聞き取りで確認
*子供の頃に見た事がある
各写真は、クリックすると675×450ピクセルサイズの拡大画像が表示されます。
 |
 |
| 冷え込んだ冬の裏山に現れました。 |
まさか裏山にタヌキがいるとは思ってもみませんでした。 |
 |
 |
| 実家から裏山へ続く山道に現れたタヌキです。 |
疥癬に罹ったと思われるタヌキ。毛がすっかり抜け落ちていました。 |
 |
 |
| 夜、山道を横切ってに走り去ったテンです。 |
2006年に写ったテン以来(左の写真以来)、6年ぶりに写ったテンです。 |
 |
 |
| 林縁に近い場所で撮れました。 |
2005年の夏に写ったアナグマ。この年以降、アナグマは写っていません。この頃は、近所の民家の屋内にまで、アナグマが入り込んでくることがあったようです。 |
 |
 |
| この時期は、小屋に置いてある柑橘類などを狙って、家の周辺をかなり徘徊していたようです。 |
撮影を試みたところ、あっさり写ってくれました。 |
 |
 |
| 地元では、”ダンザ”という地方名で呼ばれています。 |
イエネコは、撮影に訪れるたび、毎回写っていました。 |
 |
 |
| アカネズミが、タヌキを撮った場所で写っていました。タヌキサイズを狙っていたため、トリミングした写真です。 |
石積みの中に潜んでいると思われるクマネズミ。タヌキサイズを狙っていたため、トリミングした写真です。 |
各写真は、クリックすると675×450ピクセルサイズの拡大画像が表示されます。 |