・林道
森のあちこちを分断する形で、林道が建設されています。山原の森の西海岸側は、「大国林道」という広域基幹林道が通っています。大宜味村大保から、国頭村与那までの延長約35kmの林道です(幅員4m、昭和53年着工、平成7年開通)。林道は、森を切り開き、渓流を潰してしまいます。森林性のカエル達は、河川の源流部で繁殖します。そこを林道が通過すると、沢に土砂が流れ込むなどして、大きなダメージを受けます。移動力が小さい小動物達の、移動を阻害することにもなります。路上に出てきた小動物が轢死したり、側溝から抜け出せなくなって死亡することもあります。
・耕作地
森を切り開いて耕作地が造られています。雨が降ると土砂も流出します。
・赤土
雨が降った後は、海も川も赤土で真っ赤になります。青い海は失われていきます。
・ダム
沖縄島は沖縄県最大の島で、沖縄県の人口の9割がこの島に暮らしています。特に那覇市、浦添市、宜野湾市、沖縄市、糸満市など、島の中南部に集中しています。その生活を支えるため、山原の森にダムが建設されています。ダムは生物たちの生息場所である、渓流を埋めてしまいます。
・ゴミ
近年レジャーで山原を訪れる人が増加するにつれ、ゴミも目立つようになりました。湧き水を汲みに来て、そこにゴミをすてる人もいます。郷土を愛する心が求められています。
・採集・盗掘
林道沿いのあちこちに、ストッキングがぶら下げてあるのを見かけます。昆虫採集のためにマニアが設置したものです。回収しないので、いつまでのぶら下がっています。大木のウロを荒らすマニアもいます。また園芸目的のランなど盗掘により、多くの植物が野生絶滅の危機に瀕しています。 |
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写真
上から ・林道で交通事故死したシリケンイモリ ・山原の耕作地 ・降雨時に海へ流れ出す赤土
最下段左側より ・山原のダム ・林道沿いに不法投棄されたゴミ |
・外来種
全国的に外来種の問題が深刻化していますが、沖縄でも多くの外来種が問題となっています。外来種は、環境破壊の原因としては、非常に目立たない存在です。静かに確実に生態系を蝕んでいきます。外来種移入種の危険性に対する認識が低く、外来種駆除に対する反対なども出ています。島嶼(とうしょ)県である沖縄では、移入種に以下の3つのパターンがあります。
@本来沖縄に分布しない種を移入する例。
A沖縄のある島に分布する種を別の分布しない島へ移入する例。
外来種は、下記のような問題を引き起こします。
*捕食:マングースやノネコによるヤンバルクイナの捕食など。
*在来種との種間関係:カダヤシの持ち込みでメダカが激減。餌やなわばりでの争い。
*遺伝的汚染:異種間交雑、同種であるが別々の場所に分布する集団間での交雑。
*寄生虫の持ち込み、人畜共通感染症の伝播:マングースによるレプトスピラ症伝播など。
*人・産業への影響:毒を持つ動物による咬症被害、農作物の食害、マングースが鶏を襲うなど
*未知の影響:現在想定していない(できない)影響。マングースを放逐した時代には、マングースによる在来種の捕食も未知の影響でありましたし、近年まで遺伝的汚染も未知の影響でした。未知の影響こそ最も恐ろしい影響かもしれません。 現在沖縄県内には沢山の動植物が持ち込まれています。これらが在来の動植物にどのような影響を与えているか、よくわからい部分もあります。生物どうしの関係は”食う、食われる”だけの単純な関係ではなく、多様で、微妙なバランスの上に成り立っています。そのため、気がついたときには在来種が駆逐されていた、ということになりかねません。駆除にかかる費用など、経済的被害も甚大なものがあります。外来種は持ち込まないことが大原則です。
平成8年度に、(財)日本野鳥の会やんばる支部が、大国林道(総延長35.5km、幅員4.0m、国頭村与那から大宜味村大保に至る、全線舗装された林道)でノネコ・ノイヌの糞を調査しました。その結果、林道からなんと56個もの糞を採取しました(ノネコ・ノイヌの糞は区別が困難なため、まとめて扱っていますが、そのほとんどはノネコのものと推察されています)。その糞を分析した結果、下の表に示すような貴重動物が検出されています。
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糞から検出された貴重動物
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種名 |
検出率 |
哺乳類 |
ワタセジネズミ |
10.7% |
| オリイオオコウモリ |
03.6% |
| オキナワトゲネズミ |
12.5% |
| ケナガネズミ |
01.8% |
鳥類 |
ヤンバルクイナ |
03.6% |
| ホントウアカヒゲ |
19.6% |
両生類 |
ナミエガエル |
01.8% |
検出率(%)=
その種が検出された糞の数/糞の全体数(56個)×100
日本野鳥の会やんばる支部の報告書より
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写真:ノネコの親子 |
現在沖縄本島で確認されている外来種には、陸上脊椎動物だけでも下記のようなものがあります。安易な生物の移入をやめ、移入された生物の駆除を進めないと、山原の生態系が崩壊する危機に瀕しています
クマネズミ、ドブネズミ、ノネコ、ジャワマングース、ドバト、シロガシラ、シマキンパラ、キンパラ、ミシシッピーアカミミガメ、スッポン、ミナミイシガメ、タイワンスジオ、サキシマハブ、シロアゴガエル、ウシガエル
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