おきなわカエル商会です
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亜熱帯の照葉樹林を紹介
  イタジイの森  
 
かつては薪炭などの供給源
  山原の森は、昔から人々の生活に利用されてきました。激しい収奪が行われた時代もあったようです。山原の森を歩くと、あちこちにかつての炭焼き跡が残っています。第二次大戦後など、かなりの規模で伐採が行われていたようです。木材や薪炭として、中南部へ山原船により運んでおり、与那原町などその寄港地として賑わっていたようです。戦後経済の発達に伴い、薪炭から、石炭、ガス、石油、電気と生活のスタイルも変化しました。

写真:森の中に残る炭焼きの跡
新たなダメージ
 復帰後になると、山原の森でもいろいろな大規模な開発が行われるようになりました。また外来種であるマングースの問題など、新たなダメージを受けています。
林道
 森のあちこちを分断する形で、林道が建設されています。山原の森の西海岸側は、「大国林道」という広域基幹林道が通っています。大宜味村大保から、国頭村与那までの延長約35kmの林道です(幅員4m、昭和53年着工、平成7年開通)。林道は、森を切り開き、渓流を潰してしまいます。森林性のカエル達は、河川の源流部で繁殖します。そこを林道が通過すると、沢に土砂が流れ込むなどして、大きなダメージを受けます。移動力が小さい小動物達の、移動を阻害することにもなります。路上に出てきた小動物が轢死したり、側溝から抜け出せなくなって死亡することもあります。
耕作地
  森を切り開いて耕作地が造られています。雨が降ると土砂も流出します。
赤土
  雨が降った後は、海も川も赤土で真っ赤になります。青い海は失われていきます。
ダム
  沖縄島は沖縄県最大の島で、沖縄県の人口の9割がこの島に暮らしています。特に那覇市、浦添市、宜野湾市、沖縄市、糸満市など、島の中南部に集中しています。その生活を支えるため、山原の森にダムが建設されています。ダムは生物たちの生息場所である、渓流を埋めてしまいます。
ゴミ
  近年レジャーで山原を訪れる人が増加するにつれ、ゴミも目立つようになりました。湧き水を汲みに来て、そこにゴミをすてる人もいます。郷土を愛する心が求められています。
採集・盗掘
  林道沿いのあちこちに、ストッキングがぶら下げてあるのを見かけます。昆虫採集のためにマニアが設置したものです。回収しないので、いつまでのぶら下がっています。大木のウロを荒らすマニアもいます。また園芸目的のランなど盗掘により、多くの植物が野生絶滅の危機に瀕しています。
写真
  上から ・林道で交通事故死したシリケンイモリ ・山原の耕作地 ・降雨時に海へ流れ出す赤土
  最下段左側より ・山原のダム ・林道沿いに不法投棄されたゴミ

外来種
  全国的に外来種の問題が深刻化していますが、沖縄でも多くの外来種が問題となっています。外来種は、環境破壊の原因としては、非常に目立たない存在です。静かに確実に生態系を蝕んでいきます。外来種移入種の危険性に対する認識が低く、外来種駆除に対する反対なども出ています。島嶼(とうしょ)県である沖縄では、移入種に以下の3つのパターンがあります。
@本来沖縄に分布しない種を移入する例。
A沖縄のある島に分布する種を別の分布しない島へ移入する例。
  外来種は、下記のような問題を引き起こします。
 捕食:マングースやノネコによるヤンバルクイナの捕食など。
  在来種との種間関係:カダヤシの持ち込みでメダカが激減。餌やなわばりでの争い。
  遺伝的汚染:異種間交雑、同種であるが別々の場所に分布する集団間での交雑。
  寄生虫の持ち込み、人畜共通感染症の伝播:マングースによるレプトスピラ症伝播など。
  人・産業への影響:毒を持つ動物による咬症被害、農作物の食害、マングースが鶏を襲うなど
  未知の影響:現在想定していない(できない)影響。マングースを放逐した時代には、マングースによる在来種の捕食も未知の影響でありましたし、近年まで遺伝的汚染も未知の影響でした。未知の影響こそ最も恐ろしい影響かもしれません。 現在沖縄県内には沢山の動植物が持ち込まれています。これらが在来の動植物にどのような影響を与えているか、よくわからい部分もあります。生物どうしの関係は”食う、食われる”だけの単純な関係ではなく、多様で、微妙なバランスの上に成り立っています。そのため、気がついたときには在来種が駆逐されていた、ということになりかねません。駆除にかかる費用など、経済的被害も甚大なものがあります。外来種は持ち込まないことが大原則です。
  平成8年度に、(財)日本野鳥の会やんばる支部が、大国林道(総延長35.5km、幅員4.0m、国頭村与那から大宜味村大保に至る、全線舗装された林道)でノネコ・ノイヌの糞を調査しました。その結果、林道からなんと56個もの糞を採取しました(ノネコ・ノイヌの糞は区別が困難なため、まとめて扱っていますが、そのほとんどはノネコのものと推察されています)。その糞を分析した結果、下の表に示すような貴重動物が検出されています。
糞から検出された貴重動物
 
種名
検出率
 哺乳類
ワタセジネズミ
10.7%
オリイオオコウモリ
03.6%
オキナワトゲネズミ
12.5%
ケナガネズミ
01.8%
 鳥類
ヤンバルクイナ
03.6%
ホントウアカヒゲ
19.6%
 両生類
ナミエガエル
01.8%

検出率(%)=
その種が検出された糞の数/糞の全体数(56個)×100
日本野鳥の会やんばる支部の報告書より

写真:ノネコの親子

現在沖縄本島で確認されている外来種には、陸上脊椎動物だけでも下記のようなものがあります。安易な生物の移入をやめ、移入された生物の駆除を進めないと、山原の生態系が崩壊する危機に瀕しています
クマネズミ、ドブネズミ、ノネコ、ジャワマングース、ドバト、シロガシラ、シマキンパラ、キンパラ、ミシシッピーアカミミガメ、スッポン、ミナミイシガメ、タイワンスジオ、サキシマハブ、シロアゴガエル、ウシガエル
ヤンバルクイナの危機
 ヤンバルクイナの生息域は年々狭まっています。このままではヤンバルクイナは数年で絶滅する危険性が高まってきました。 沖縄県と(財)山階鳥類研究所が平成12年度に実施したヤンバルクイナの生息状況調査結果によると、大宜味村全域と東村の福地ダムの南側地域で生息が確認できなくなっています。これらのエリアでも、数年前まではヤンバルクイナが生息していました。詳しくは沖縄県自然保護課のページをご覧下さい。
  なぜヤンバルクイナはこんなにも急激に減少しているのでしょう。その原因は、ノネコとジャワマングースであると考えられています。適正に飼育すれば、ネコは可愛いペットです。しかし野外に捨てられると、強力な捕食者として、野生生物を絶滅の危機に追い込む存在なのです。
  ジャワマングースは、1910年にハブの駆除などの目的で移入されたものです。結果的に、野外でハブを捕食することはほとんどなく、より小型で捕食しやすい、トカゲ類、カエル類、昆虫類などを捕食し、沖縄本島の生態系を大きく撹乱しています。やんばるの森への侵入が近年進んだため、ヤンバルクイナも急激に数を減らしています。成鳥が無飛翔性で、繁殖も地上営巣のため、他の鳥類より影響が顕著であると考えられます。
  右の写真は、名護市多野岳(いこいの村)から山原方向を見渡した写真です。緑の森が広がっていますが、この写真に写っている遙か向こうまで、森にヤンバルクイナは生息していません。ホントウアカヒゲ、ノグチゲラ、イシカワガエル、ハナサキガエルなども生息していません。森はあるのですが、山原固有の生き物たちは、すっかり姿を消しています。レイチェルカーソンの「沈黙の春」の状況が現実に起こっています。
左写真:ジャワマングース  右写真:名護市多野岳からの眺望
森の保全へ向けた取り組み
 山原の森の重要性は県内でも理解が進み、まだ十分とは言えない部分もありますが、保全に向けた取り組みも始まっています。国頭村には、環境省のやんばる野生生物保護センターがあり、ノグチゲラなど希少生物の調査研究もはじまっています。また外来種の捕獲排除も行っています。沖縄県でもマングース、ノネコの捕獲排除に取り組んでいます。民間レベルでは、沖縄の獣医師さんたちのグループによる活動も行われています。「ヤンバルクイナたちを守る獣医師の会」のサイトをご覧下さい。
  (財)日本野鳥の会やんばる支部では、自然観察会の実施、パネル展、写真集や写真ハガキなどで、山原の森の保全に対する理解が進むよう、啓蒙活動を行っています。
  地元では、自然、歴史、文化など地域の資源を適正に利用しようという動きもでています。国頭ツーリズム協会では、山原の資源を正しく理解し、保全を図りながら持続的な有効利用に取り組んでいます。
  各種の事業でも、山原が重要な地域であるとの意識が出てきており、対策も施されつつあります。

(財)日本野鳥の会やんばる支部の自然観察会
(財)日本野鳥の会やんばる支部のパネル展 ゆいゆい国頭
動物に配慮した対策が施された道路構造
対策工を利用して側溝からはい出すリュウキュウヤマガメ
   
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