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亜熱帯の照葉樹林を紹介
  イタジイの森  
 
  温暖で湿潤な山原
霧に包まれた森の写真  昭和56年から平成14年度の資料でみると、沖縄の年平均気温は、那覇市での観測結果で23度弱あります(*1)。年間の降水量総量は2000mmを越えています。沖縄島の最高峰である与那覇岳(海抜498m)での観測資料でみると、昭和54年から平成12年の年間降水量の平均は、年間3000mmを越えています。(*2)
  下のグラフは、沖縄気象台の与那覇岳観測資料をもとに作成した、降水量の平成14年における月別推移です。雨の多い時期は、5月から6月の梅雨期、晩夏から秋の台風が多い時期、3月の気圧の谷が次々と通過していく、”うりずん”と呼ばれている時期です。
  このような温暖で雨の多い亜熱帯気候の山地に、ブナ科のイタジイ(スダジイ)が優先する照葉樹林が広がっており、まさに”山原”と呼ぶにふさわしい景観となっています。
  与那覇岳の月別降水量

*1 第47回沖縄県統計年鑑 平成15年度 による
*2 沖縄気象台 与那覇岳の地域雨量観測統計資料 による     写真:雨上がりの霧に煙る山原の森
イタジイの森
 山原の森は、ブナ科のイタジイが優先する常緑の照葉樹林が代表的な森です。このイタジイの森が、ノグチゲラやイシカワガエルといった貴重な動物たちを育んでいます。イタジイは、スダジイが正式な和名ですが、このサイトでは沖縄で一般的に使われているイタジイを使っています。
  イタジイは、木の高さ約20m、幹の直径1mに達する常緑の広葉樹です。丸みがある大きな樹冠をつくります。実(ドングリ)は長さ13〜17mm、幅10〜13mm程度です(下の写真を参照)。
  山原の森は、優占しているイタジイ(スダジイ)をはじめ、タブノキ、コバンモチ、カクレミノ、イスノキなど、本土の照葉樹林と共通の樹種が多い森です。日本のシイ林は、琉球列島にみられる亜熱帯性のシイ林と、九州から本州の福島県あたりにまでみられる暖温帯性のものに分けることが出来ると考えられています。山原の森に代表されるような亜熱帯性の森は、ヒカゲヘゴのような木性シダ類が生えている点、林床に生えるシダ類の種数が多い点、クワズイモなど背の高い草本が生育している点で、本土の森とは異なります(右の写真を参照)。
 山原の森は、貴重な動植物が生息している点がクローズアップされることが多いのですが、この森自体も大変貴重な存在です。まずまとまった面積のあるシイ林は、山原や石垣島、石垣島、奄美大島などの琉球列島の他、宮崎県の綾町など、限られた場所を残すのみです。かつては、暖温帯はシイを中心とした照葉樹林に覆われていたと考えられていますが、人の生活に伴って伐採され、破壊が進んでしまいました。
  琉球列島、日本本土が位置するあたりは、地球規模でみた場合、熱帯付近から極に向けて、森林が縦に連続した地域です。このような地域も世界的には少なく、私たちは貴重な緑の回廊を預かっていると考えられます。
  また沖縄と同緯度にある南・北半球をみると、サバンナや砂漠など乾燥した気候帯が主体です。亜熱帯気候で森となっている地域は少ないようです。
  このように山原の森は、世界的にみても、非常に重要な森なのです。

イタジイの新芽
写真:イタジイの新芽

ヒカゲヘゴが生えるヤンバルの森
  写真:イタジイの森とヒカゲヘゴ
      手前の2本がヒカゲヘゴです

林内に生えたヤンバルの森
  写真:イタジイ林の林内
  樹高7〜8mほどのヒカゲヘゴです
   
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